杏庵の歳時記 小雪(其の2)
第五十九候 朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)
毎日少しずつ存在感を増してきた北風が、木々の枝から枯れ葉をすっかり吹き飛ばしてしまいます。風が吹き止んだときにふと現れる、寒々と枯れ果てた景色に、不完全なものへの美を見いだすことも、日本人が育てた大切な感性のひとつと言えるでしょう。
「枯れ、冷える」ことをやがては「わび」「さび」の世界へと昇華させていったいにしえの茶人たちの世界に想いを馳せてみたい季節です。
旬の野菜は椎茸(しいたけ)
気と血を補って元気をつけ、胃腸の働きを改善してくれる食材。胃もたれや食欲不振など、いの消化力が低下しているときに適しています。
さらに、免疫力を高めるレンチナン、コレステロール値を下げて動脈硬化を予防するエリタデニンなども豊富。これらは椎茸特有の成分で、生活習慣病の予防に効果的です。また、薬膳では干し椎茸も生とも同様に考えますが、干したものの方が栄養価は高くなっています。
中国では干し椎茸をよく使うらしいのですが、干し椎茸を戻す時は、冷蔵庫などで低温でゆっくりと戻して使うようです。その方が美味しいのだとか。